身軽に生きていきたい ─ 3週間の子連れ旅で学んだこと

家族5人で3週間、長野に行ってきた。こんなに長く旅をしたのは初めてかもしれない。

旅は好きだけど、そんなに旅慣れしていない。奥さんも同じく。3人の幼い子どもたちにとっても大冒険。

この猛暑でも涼しそうな場所を事前に調べて数ヶ所の滞在先を予約。

長旅に必要だと思うモノをファミリーカーのセレナにたっぷり詰め込んだ。


ベビーカーを積むとトランクは半分埋まって、自炊するための調味料、水着やライフジャケットなど、あっという間にパンパン。

仕方なくセレナの上にまで荷物を乗せた。二つのトランクカーゴの中身は、エアマットと寝袋、蚊やブヨが多いというのを聞いたので家族全員が入る蚊帳まで載せた。ギターやぬいぐるみ、あれもこれもと、とにかく荷物いっぱい。


2週間を過ぎたある日、八ヶ岳美術館へ行くことにした。八ヶ岳の麓の森の中にある美術館。


長野は標高が高いとは言え、昼間の日差しは低地よりも強いみたいで、街中を走る時はクーラーが必要だった。


街中を走っていると、やたらと信号にかかった。外は猛暑だった。信号待ちで停車するたびに、クーラーがぬるくなる。


おかしい。めちゃくちゃ暑い。せっかくの長野なのに、こんなに暑いのか。


子ども達も車内でわめき出す。


しばらく走っていると、見慣れないランプがついた。僕は昔から、そのマークはヨットだと思っていた。なぜ車にヨットの帆みたいに見えるマークがあるのか。赤く点灯しているのがなんとなく危険を感じた。


あれ、このマーク、赤かったっけ?


ようやく郊外に抜け出したので、ぬるいエアコンを切って窓を全開にする。


八ヶ岳美術館に着く頃には、ヨットのマークは消えていた。森の中の涼しい風が吹き込んできた。


子どもたちが展示を楽しんでいる間、どうもあのマークが気になり、スマホでググってみた。


「水温警告灯」

「オーバーヒート」

「このままじゃヤバいよ」

そんな内容を目にして、胸がドキドキ焦り始めた。


すると、先ほどまでギラギラしていた天気が、急に曇りはじめ、雷が鳴り始めた。辺りがどんどん暗くなっていく。


16時。このあと、80キロほど離れた安曇野まで行かなければならない。その夜は上映会の予定だった。行けるのか?

誰に聞こうか迷った末、自動車保険のロードサービスに電話してみることにした。何か教えてくれるだろう。すると、

「レッカーしましょう」

セレナは少し離れた市街地にあるディーラーにレッカーすることに。


雷が激しく鳴り、大粒の雨がポツポツと降り始め、やがて豪雨となった。土地勘のない森の中で雷雨の上、足がなくなった。スマホのバッテリー残量も怪しい。安曇野まで行けないから泊まるところもない。幼い子どもたちもいる。どうしよう!?とテンパった。

そんな僕らを救ってくれたのは、秋に僕の映画を上映してくれる女性だった。近くに住んでるというのを思い出し、電話して事情を話すと、近くの宿を紹介してくれて、そこまで車で運んでくれた。

翌朝、タクシーでディーラーへ行くと、セレナの修理には3日ほどかかることが分かり、その間は代車で移動することになった。代車は古いタイプの5人乗りのコンパクトカーで、まあまあ狭かった。


奥さんは、本当に必要な物だけを選んで、コンパクトカーのトランクに詰め込んだ。


パンパンになった車で次の滞在先に出発。


このまま旅を続けた結果、あることに気がついた。


荷物、これだけでいいじゃん!

夫婦で大笑いした。


旅慣れしていない僕らが、心配や不安を解消するために用意した荷物の半分以上は不要だったことが証明されてしまった。少ない荷物でもしっかり自炊までして、暮らすように旅ができていた。

そしてもう一つ。

八ヶ岳で足止めをくらったなら、そのままそこにもう少し滞在したかった。出会った人や助けてもらった人とのご縁を深めたり、その土地のことをじっくり味わったり。


でも3週間の旅を、予定でぎっしり埋めてしまっていて、次に向かうしかなかった。助けてもらっただけで、何もお返しできずに立ち去ってしまったことが残念だった。


今回のトラブルで、荷物だけでなく、予定まで詰め込み過ぎていたことに気付かされた。

もっと身軽に生きた方が、豊かじゃないか?そんなことを考えさせられるような出来事だった。

心も身体も軽くなった気分で3週間の旅を終え、家に帰ると、家の中の物の多さに夫婦ともに驚いて、笑った。


自分たちが生きていくのに、本当にこんなにたくさんのモノっている?と。



旅で感じたように、もっと身軽に生きた方が、いろんな歯車が動き出して、物事が未知の世界に動き出すんじゃないか?



ということで、旅初心者の夫婦だけど、もう次の旅を計画中。次こそ身軽で行きたい!